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なんか塗り薬一つでこんなにクーナさんが喜んでくれるなんて思わなかったな…
「あのさ、クーナさん。俺そんな良い奴じゃないよ…」
「そんなことないよ」
「だ、だってそれ買ったときだってあわよくばクーナさんとセックスできないかな、とか卑猥なこと考えてたし…俺、べつに」
「君らしいね。でも僕はとっても嬉しいんだ。それに君は本当に良い子だって!」
ほ、本当に?
クーナさんを見ると、ニコニコしながら俺を見ていた。というより微笑んでる?
え、俺って本当に素敵なの? 少なくともクーナさんはそう思ってくれてるの? そういうことだよね…
だとしたら、それって凄く嬉しい。今まで人に、素敵だ、なんて言われたことなかった。
わーい! なんかテンション上がってきたぞぅ!
「じゃ、じゃあ! セックスしよ! 俺とエッチしよ!」
「それとこれとは別!」
「えぇ〜! せっかく紐買ったのにぃ!」
「紐?」
塗り薬を買うときに一緒に紐を買った。紐と言ってもただの紐ではなく、縛っても痛くない優しい紐、ということでSMプレイやちんこを縛るのに使えるようだ。
いやーあそこのお店品揃え良いわー。
クーナさんとセックスするために買ったのだけれど…。
「そんなもの没収です!」
あぁ、やっぱり。
ちぇ、つまんないの。
「クーナさんさ、俺のこと好き! って言ったじゃん。なんでセックスはだめなの?」
「男同士でしょ! 問題外です!」
「えぇ〜! でも、俺のこと好きなんでしょ? 愛しちゃってんでしょ?」
「はぁ!? 違うよ!」
えっ。そうなの、違うの…
なんか怒ってしまったクーナさんはもう寝るらしくベッドに入ってしまった。
えぇぇ…なんだ、違うんだ。俺、クーナさんのこと好きなのになぁ…。
でもクーナさんは違うのか…なんか残念だな。
まぁ、ともあれ行きたかった町には行けたし、クーナさんとも仲良くなれたし良かったかも!
俺もさっさと寝よっと。
第一話End
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