7
喧嘩ばかりだった二人も徐々に生活の違いに慣れ、仲良くなってきた。
「ただいま」
「おかえりー」
学校に通い出したコナタは毎日疲れながらも、きちんと食事だけは作っていた。居候の身であることは分かっているので、それだけはちゃんとしようと子供ながら決めているのだ。
だからランバルトが帰ってくるといつも美味しそうな匂いが家中に漂っていて、ランバルトは「誰かと暮らすっていうのもいいもんだなぁ」と幸せに思った。
「ランバルト、今日はシチューだぞ!」
「おお旨そうだな」
「人参ちゃんと食えよ!」
「……はいはい」
ランバルトが席につくとコナタはほかほかと湯気が立っているシチューを机に置いた。出来立ての熱々だ。
「おー、旨そうだなぁ」
「だろ!」
「うんうん。じゃあいただきます」
「いただきます!」
はふはふと二人はシチューを頬張る。
「んー、人参入ってるか? 見当たらないぞ」
「人参はすりおろした!」
「へ?」
「それならランバルトも味しないから平気だろ?」
どうだ、とばかりに笑って言うコナタにランバルトは思わずポカンと口を開けた。
(こいつ…たかが俺の好き嫌いのためにそこまで手をかけてくれたのか?)
それを理解した途端、ランバルトは自分の顔がぼわんと熱くなるのを感じた。
「ランバルト? どうした?」
「い、いや! なんでもない!」
挙動不審にシチューを食べるランバルトをコナタは不思議そうに見つめる。ランバルトは余計顔が熱くなった。
(ちくしょー、ナユタめ。お前の弟がこんなに可愛いなんて聞いてないぞ!)
ランバルトは自分より遥かに年下の少年に胸がときめくのを感じた。
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