開通への序曲

 あの呪われたバイブから一月。俺は平穏な日常を取り戻し、また鬼頭や沼尻とバカをやっていた。

「オカマバー?」
「うん、知り合いの友達がそこで働いてるらしくてさぁ、面白そうだし行かね?」

 そしてそんなある日、へらへらと笑いながらそう言う沼尻。
 オカマ………あまりいい思い出がない。というか怖い。

「へぇ。いいじゃないか。興味ある」
「だよなぁ鬼頭! なぁ小名田ぁ、行こうぜ」
「え、あー…」

 鬼頭は器用に片眉だけあげて笑う。なんていうかこいつって本当かっこつけだよなぁ。
 2人はなんともなさそうにオカマバーの話をする。でも俺はあの屋敷で見た、塗り潰されたゲイポルノ雑誌と夢に出てきたオカマの赤黒いちんこが忘れられない。
 オカマにトラウマがあるのは俺だけなのか? どうして2人とも平気でオカマの話ができるんだ?

「おい小名田、お前びびってんのか? 大丈夫、お前のケツは狙われねぇよ」
「びびってる……ていうか…」

 ニヤニヤと鬼頭が俺を笑う。ちくしょう、俺だって玉はついてるんだ。びびってるなんて思われてたまるか。

「………分かった。行く」
「よっしゃあ! じゃあさいついく?」
 沼尻は楽しそうにオカマバーの話をする。鬼頭も乗り気だ。
 お前ら…あの時は腰抜けだったくせに。俺がバイブを返したからなんとかなったんだぞ!

 ともかく俺はオカマバーに行くことになってしまった。後にそれを激しく後悔することになるとは知らず……


end

次回 呪いのローターへと続く…



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