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先ほどまで喧嘩していたことも忘れコナタはランバルトを呼びつけた。
「早く! 早くぅ!」
「はいはい…」
ビデオのセットができないのだ。ランバルトは痛む体を動かしビデオをセットした。なんだかんだいってコナタの世話はちゃんと見るのである。
『コナタ、ランバルト、ナユタです。元気か?』
「きゃあああああ! 兄ちゃんだあぁぁぁ!」
テレビ画面にナユタが映った瞬間、頬を染めて黄色い声をあげるコナタにランバルトは「けっ、アイドルのおっかけか」と呟いた。
『仕事はとても順調だ。思っていたよりもずっとこっちは安全だよ。それに友達もできた。同僚のタキタだ。今度紹介するよ』
「うんうん!」
『さて、コナタはランバルトとうまくいってるか? お前のことがとても心配だ。食事はきちんと食べているか? ランバルトに変なことされてないか? 嫌なことがあったら手紙で兄ちゃんに相談しろ』
「はわぁぁぁ……兄ちゃん優しい…かっこいいぃ…」
コナタは目をハートにして画面の中のナユタを見つめる。ランバルトが隣で「誰がこんなガキに手出すか!」と叫んでいたが、それすら耳に入らないほどナユタのビデオに夢中だった。
『まあともかく二人が元気で仲良く健全な仲でいてくれると嬉しい。また、ビデオを送る。コナタからの手紙、ビデオも待ってる。それじゃ』
ビデオの中のナユタは旅立つ前より少し日焼けしていて笑うとできる、前からあった目の周りの小皺が以前よりが目立っていた。
ぷつん、とビデオが終わりコナタは、あああ! と叫んだ。
「ランバルト! 巻き戻して!」
「……へいへい」
ランバルトはコナタがあまりにも嬉しそうにビデオを見るので、文句を言わず巻き戻した。
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