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 別れを惜しみながらナユタが旅立ってから早1ヶ月。南国にたどり着いたナユタからは手紙が送られていた。元気にやっています、と綴られた手紙にコナタは安堵し、寂しさも感じた。
 そして同居を始めたばかりのコナタとランバルトの関係は最悪だった。田舎もののコナタと都会っ子のランバルトは生活習慣がかなり違い、二人ともお互いにイライラとフラストレーションを溜めた。その上いまだぐすぐすとナユタを寂しがり、時には涙を流すコナタにランバルトが「いつまでもメソメソするな」と叱ったのだ。コナタはキレた。

「俺がコナタの年にはもう泣いたりなんかしなかったぞ!」
「うるせぇ! ランバルトが鈍感だからだろ! 俺は繊細なんだ!」
「なにぃ!? 大体コナタは靴下をちゃんと伸ばさずに丸めて洗濯するし」
「はあぁ!? それならランバルトだって大人のくせに人参もピーマンもほうれん草も食べられないじゃないか!」

 こうなると二人は取っ組み合いの喧嘩を始める。
 喧嘩となれば当然体格の良いランバルトのほうが圧倒的に有利なのだが、コナタだって負けてはいない。がぶり、とランバルトの足、腕に噛みついた。

「こんのっ、くそがきぃぃぃぃ!」
「んがんがんが!」
「ぎゃあああ! 噛みついたまま喋るな!」

 どたばたと音とホコリを立てて喧嘩する二人。
 その声は外にも漏れていて、郵便配達員の女性は躊躇いがちに呼び鈴を鳴らした。
 するとこれまた大きな音が響いて家はシーン、と静まった。女性がついに殺人が起きたか、とぶるぶるしているとドアが開き傷だらけのコナタが出てきた。

「お、お届けものです。サインを…」
「は、い」

 よろよろとしているコナタに女性が荷物を渡すと、コナタの目がキラキラと輝いた。

「に、兄ちゃんからだぁぁぁ! いやっほぉぉぉぉ!」

 ありがとお姉さん、とコナタは女性にハグしてドアを閉める。
 コナタがいそいそと荷物を開けると中にはビデオが入っていた。



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