後日談その2

 なんとかギリギリに先生は原稿を書き上げ、俺はそれを受け取って帰った。
 会社から家に向かう帰り道、俺は誰かが俺のマンションの部屋の前に立ってることに気づいた。
 近づいて、げっ。なんでいんの。

「何してんの」
「真也」

 俺の数倍顔を腫らしたあいつが立ってた。

「帰れよ」
「話しがしたくて」
「無理。俺にはないし」
「俺にはお前が必要なんだよ」
「なんなの。帰って」

 なにこいつドエムなの。また俺に殴られたいわけ? そんな性癖があるなんて知らなかった。
 ともかく帰って欲しい。

「真也」
「触んな、離せよ」
「お前がいないと俺困るんだよ」
「俺はお前いなくても困んねぇよ。離せ」
「真也」
「しつこい!」

 グッと腕を捕まれ、ふりほどこうとするが離れない。
 大体あれだろ。困るっていうのは、俺の奢りでもう飯が食えないことだろ、ちくしょう。

「もうお前とは終わりなの。わかる? ほら離せ」
「そんなの嫌だ」
「知るか。……もういい、俺今日は他泊まるから、バイバイさよならー」
「もう他の男ができたのか」
「昨日の今日でできるわけねぇだろカス」

 このまま話しててもらちが明かない。俺はあいつの足を思い切り踏んで、捕まれている腕の拘束がゆるんだ瞬間そのまま振りほどいて駅に向かって走り出した。
 あいつも慌て追いかけてこようとしたけど、俺元陸上部。捕まるわけないよね。



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テーマ「人外ファンタジー」
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