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 友達の沼尻と鬼頭と肝試しに行くことになった。町の外れにある、もう何年も誰も住んでいない古い屋敷だ。

「うはぁ、雰囲気あるなぁ」

 俺の中古で買ったポンコツ車で30分。着いた屋敷は思っていた以上に古めかしくて、俺は少し怖くなった。

「なんだよ、小名田。びびってんのか?」
「…んなわけねーし」

 鬼頭がにやにや笑いながら俺を見てきた。俺はムッとして、屋敷へと向かって歩き出した。

「お、開いてる」
「よし、入ろうぜ」

 屋敷の扉は開いていた。俺を先頭に薄暗い屋敷へと入って行った。
 入るとすぐに怖いもの知らずな沼尻が部屋を物色し始めた。

「へへっ、お邪魔しますよ」
「お、結構荒れてるな」

 鬼頭もあまり怖がっていないのか部屋の中に散らばっているゴミや壊れかけの箪笥などを覗いていた。俺だけが恐怖で何もできないでいた。だけどそんなの格好がつかない。俺は意を決して二階へと向かう。
 階段が崩れないかドキドキしながらゆっくりと一段一段上っていく。ギィ、ギィ、という木製の階段が軋む音が俺の恐怖心を更に煽った。
 二階の一室に入るとそこは寝室だった。テラスの窓が空いていて、ふわぁと生暖かい風邪が吹いた。黄ばんだベッドはシーツが剥がれていてマットレスは破けて綿が出てきてしまっていた。

「お、寝室か」

 いつの間にか鬼頭もいた。俺は奴を気にせず部屋を物色する。
 すると一冊の雑誌を見つけた。古びたゲイポルノ雑誌だった。俺はそれを開いて驚いた。

「ひっ…!」

 雑誌に写る男の目や口、ちんこや尻が黒く塗り潰されていたのだ。気味が悪く俺はすぐにその雑誌を放り投げた。
 俺はもうなんだか帰りたくなった。そしてその時…

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 一階から沼尻の悲鳴が聞こえた。慌てて俺と鬼頭は一階に降りていった。そこには青い顔でぶるぶる震える沼尻がいた。

「ぬ、沼尻どうした!?」
「お、お、お、ま! ぉ、お、お、!」

 沼尻は叫びながら俺達の後ろを指差した。俺と鬼頭は同時に振り返った。
 するとそこには目の周りが真っ黒で赤い口紅が唇からはみ出すほどぬりたくってある青髭のゴツいオカマがいた。

「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 皆で一斉に叫んで、俺達は争うように屋敷を出た。



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