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 教室への足取りが重かった理由、それは七生がやたら柿谷に絡むことだった。
 目立つことが嫌いなのにキィーキィーと喋る七生のせいでクラスの注目を浴びてしまうことや、せっかく仲良くなった柿谷との仲を壊したくない竜太郎は、毎朝少し憂鬱なのだ。

「ったくあの眼鏡、りゅうちゃんにベタベタしやがって…全くりゅうちゃんは私のダーリンなのに…」

 それに、竜太郎は七生が柿谷のことばかり話すのもなぜか気にくわなかった。

「七生」
「な、なあに? りゅうちゃん! 糞眼鏡が死んだ?」
「…やっぱなんでもない」

 七生にいらついてしまう竜太郎は、柿谷と話すことが増えていく。柿谷だけと話している分には、竜太郎はいらつかないし、柿谷とは話しが合うのでむしろ楽しいのだ。
 しかしそうすると、さらに七生は柿谷のことばかり話すようになるので、悪循環である。


******


(七生のやつ…なんなんだよ)

 竜太郎は柿谷のことばかり話す七生に「本当に七生は俺のことが好きなのか?」と、七生の気持ちを疑うようになっとしまった。

(本当は柿谷のことが好きなんじゃないのか? いつも柿谷の話しばっかだし…)

 七生の気持ちなんて知らない竜太郎は、一人鬱々と考えとしまうのだった。



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