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 あのおじさんちゃんと渡してくれたんだとか、大切にしてくれてるのかな、とか色々思うことはあったけど、言葉にする前に涙が出た。

「うぇぇ…」
「あ、ごめん。染みた?」
「……しゃでしゅうぅぅ!」
「わっ、何急に」

 思わず抱きつく俺に、サデスは笑いながら「ユリシアは甘えん坊だなぁ」と言って頭を撫でてくれた。
 違うんだよ、俺本当はイシュアなんだよ…

「うぇっ、しゃ、しゃでしゅう…」
「はいはい。もう、どうしたのさ」

 気持ちが落ち着くまで俺はずっとそうやってサデスに抱きついていた。


******


 今俺は七歳。本当だったら三十三歳。
 今の俺ユリシアは前の俺、イシュアが死んでから十年経ってから生まれた。だからサデスはもう三十五歳だ。

「いまさら言えるわけないか…」

 新しい俺が生まれて七年。サデスに本当はイシュアだって言うチャンスは何度もあったけど、言えなかった。だってもう俺が死んで十年も経ってたんだ。きっとサデスは俺のことなんか忘れただろうと思っていた。
 でも、サデスが俺のペンダントを嬉しそうに撫でているのを見てしまった。
 そのせいで俺は心が揺らいでいる。サデスに本当の事を告げたくなってしまった。



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