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 あの時、俺がどれだけ傷ついたと思っているのだ。好きな人が目の前でアバズレとキスをしていたのだぞ…!

「ゆうちゃんの馬鹿! 何で覚えてないんだよ! 俺よりあのアバズレを選んだくせにぃ!」
「…悪い」
「小首を傾げて可愛く謝ったってダメ!」
「傾げてねーよ」
「なにっ!? 俺に文句あるの!」
「……ありません」
「しかも俺が中田に乗り換えたとか失礼なこと言うし! 俺のゆうちゃんへの愛を信じてないわけぇ? 俺がどれだけゆうちゃんに尽くしてると思ってるの!」
「……分かったよ」

 いいや、ゆうちゃんはわかってないね。全くわかってないね。
 そもそも俺の愛の重さが分かってたらあんな女とはキスなんかしないだろう。

「……真太郎、俺が悪かった」
「ふんっ! どうだかね! あのあと俺、1人で寂しくたべっこ動物食べたんだからね!」
「……」
「な、なんだよ! そんな可愛く目を潤ませたってダメだよ! 可愛いなちくしょう、よし分かった許す!」
「そうか」
「た、ただし! 好きって言って! 俺に愛情を示して!」

 これからも俺と一緒にたべっこ動物食べたいならそれぐらいできるよね! イチゴミルクやクリームパンだって俺がいないとゆうちゃん買えないもんね!
 …それに、一度ぐらいゆうちゃんに愛を囁かれたい。

「ほら、言って!」
「…真太郎」
「うん!」
「……………好きだ」
「う、う、うん! 俺も俺もぉ! ゆうちゃん愛してるううううう!」

 俺もゆうちゃんが好き!
 やっぱり俺もゆうちゃんなしの生活なんて嫌だ! もう偽りの愛でもいいわ。ゆうちゃんのためだけに生きていくよ俺!


******



「あのさー…なんか俺、腹に痣できてんだけどなんか知ってる?」
「ううん、知らなーい!」
「そっかー……。てかなにお前ら結局元サヤかよちくしょう」
「うふん。ゆうちゃんと俺はラブラブなのよん!」

 前よりゆうちゃんは優しくなった。家に突撃しても30分かからずに入れてくれるし、ご飯をアーンさせてくれるし、アバズレと会うこともなくなった。さよならアバズレ!

「ゆうちゃん、たべっこ動物食べようよ!」
「ああ」

 俺とゆうちゃんはラブラブなのだ。誰も俺たちの間には入れない! ……はず。

「おいしい? ゆうちゃん」
「ああ」

 ゆうちゃんにアーンすると、ゆうちゃんもたべっこ動物を俺の口まで持ってきてくれる。うーん、凄い進歩!

「へへー…アーン!」
「……うまいか?」
「うん! ゆうちゃんの愛が込もってるからね!」
「そうだな」

 やっぱり俺って愛されてる!



終わり。




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