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翔一は目線だけ動かして廊下を見た。そこには可哀想になるほど肩を落とした三咲がいて、翔一はつい見てしまう。とぼとぼと歩く三咲が視線の外に出ると、つい身を乗り出して三咲を追ってしまう。
これじゃだめだ、と頭を振って視線を元に戻すが頭の中にはしょんぼりしている三咲がいる。
 やっぱり三咲の話を聞いてやろうか…そう思って翔一は立ち上がった。
 廊下に出て三咲の姿を探す。

「あ、みさ…」

 数メートル先にいる三咲を見つけて声をかけようとすると、先に他の男が三咲の肩を叩いた。
 例のサッカー部の男だ。
 それを見た瞬間、カーッと熱い怒りが翔一の胸の中に込み上げてきた。
 肩を叩かれて振り返った三咲は、男の少し後ろにいる翔一にも気付く。

「あ!」

 翔一に気付いた三咲が声をあげると男もこちらに気付く。
 その様子に翔一はどうしようもなく腹が立った。

「先輩!」

 嬉しそうな顔をした三咲が翔一にかけよってくる。男も一緒になってついてくる。
 なんだ、なんでついてくるんだ、翔一はイライラするが口には出さない。

「先輩、あの、俺話したいことが…」

 翔一が来てくれて嬉しそうにする三咲は可愛いが、後ろにいる男が気にくわない。

「それってこいつも必要?」

 翔一が後ろの男を指差すと、三咲は初めて着いてきていたことに気付いたようで驚いていた。

「なんでいるんだよ? どっか行けよ」
「俺も話しに加わりたいなって」
「はあ? なんで? 俺木下先輩と話すことあるんだから2人にしてよ」

 男と話す三咲の様子はなんだか親密そうで、翔一はさらにイライラしていく。
 三咲はそれを分かっているのか、男を追い払おうと必死になった。

「なんだよ、邪魔するなよ」
「三咲、冷たいこと言うなよ。俺たちの仲じゃないか」

 男はまるで見せつけるかのように、翔一の目の前で三咲とベタベタする。
 それを見ている翔一は怒りと共になんだか悲しくなって、踵を返した。

「あ、先輩待って!」
「待たない。一生そいつとイチャイチャしてれば」

 可愛い三咲が止めてくるが翔一はそれ以上そこにいることはできなかった。



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