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グラウンドでピーピー泣き続けた翔一は野球部の友達に家まで送ってもらった。
家に帰っても翔一は泣き続けた。夕食も食べずに自室に引きこもった。
三咲と同級生がキスする映像が翔一の頭の中で流れるたびに、翔一は涙が止まらなくなり息が苦しくなる。翔一は泣きながらベッドに言い様のできない悲しさと怒りをぶつけた。
翌朝起きた翔一の顔は浮腫みで腫れ、とても見れるものではなかった。翔一に学校へ行く気力が残っているわけでもなく、学校は休むことにした。
ベッドに横にながら翔一は考える。三咲はあのキスしていたサッカー部のヤツのことが好きだったのか。俺の事は嫌いだからキスさせてくれなかったのか。それならなぜ3ヶ月も翔一と付き合ったのか。
訳が分からなくなり翔一は頭をかきむしる。
自分はどうしようもないほど三咲が好きなのに、三咲の気持ちが全く分からない。
「キスしなきゃよかった……」
そうしたらまだ三咲と一緒にいられたかもしれない。
翔一は三咲に別れを告げてしまってたし、三咲が復縁をせまるとは翔一は思えなかった。
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次の日も学校を休む訳には行かず、翔一はしぶしぶ行くことにした。
翔一が泣いていたのを多数の生徒が見ていたこともあり、教室に入ると翔一はクラスメイトにからかわれた。翔一は泣いて時全く周りのことなど見てなかったので驚いた。
「うるせぇな、ほっとけよ」
からかう友達を笑って小突きながら翔一は席に着く。
教科書を取りだそうと鞄を開けると、ビニールに入ったあげパンが見つかる。三咲にあげようと思って購買で買ったものだ。2日たったそれはとても食べられるとは思えない。
「……もったいねぇ」
そう翔一は呟いたが、あげパンはゴミ箱に捨てた。
ツキンと胸が痛んだ。
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