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悪い子だねっていうのは羽山さんの本音の気がした。
昨日羽山さんと一緒に寝たけど、羽山さんの手は俺の事掴んで放さなかった。普段はそんなことしないから驚いた。
でもそれ見てなんかホッとした。
そんでもしかしたら羽山さんがあんな風にあっさりしてたのはやっぱり浮気しまくった負い目もあるのかなと思ったら、なんかいろんな事許せる気がした。
でもやっぱり羽山さんは貞操観念が緩いから油断はできない。そのくせ俺には同じ事を許さない。羽山さんもバカじゃないから自分が矛盾していることは分かってると思う……多分。だから昨日俺の事を許してくれたんだと思うし。すごく自信ないけど。
「悪い子なのは羽山さんだっつーの…」
それでも羽山さんは俺のハートを掴んで放さない。それだけじゃなくて、俺のハートをツンツンしたり揉んだり噛んだりペロペロしたり弄んでる。そのたびに俺はドキドキしちゃう。ちくしょー! 俺もおんなじ事やってやるんだ!
そう思って隣で寝てる羽山さんのおっぱいを揉んだり舐めたりカミカミしたりしてみる。
これで羽山さんも俺のとりこだね。チュッチュ。愛してるぜハニー。
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あのあと目を覚ました羽山さんとイチャイチャうふふしてたけど、学校の時間がきたから単位危ない俺は仕方なく登校。
そして岸山サマとバッタリ。
「あ、昨日ぶり……はは」
「よお……その様子だと仲直りしたみたいだな」
「え、わかるぅ?」
キャッそんなに幸せオーラが出てたかしらとほっぺたを押さえる。
「はっ、うぜ…」
岸山クン心底嫌そうな顔してる。てか機嫌悪そうだなぁ。でも俺、話しある。
「あ、あのさぁ岸山クン。俺ね、もうあーいう事はしないっていうか、昨日もナガサれちゃったけど、俺羽山さんがやっぱりスキっていうか…」
「あっ、そう……いいんじゃない?」
「ホント? ヨカッタヨカッタ! ヨカッタヨ!」
ちょっと言いにくいかったからところところ声が裏返りながらも俺笑って岸山クンの肩バンバン叩く。
あーでも良かった良かった、ほっとした。
「………お前って本当バカ」
ボソッと岸山クンが呟く。
「え、なあに?」
「うっせ」
なあに、なんて言ったのさ。気になるじゃないか。
何も言わない岸山クンにいつもの調子でツンツクツンしそうになったけど、俺こいつとキスしたんだよな……。乳首ちゃんもペロペロされたし、ダイナマイトボディをもつムスコちゃんもニギニギされた。
俺そぉっとツンツクツンしようとした人差し指をひっこませた。 行き場をなくした人差し指をじっと見つめてると、岸山クンがずんずん先に行ってしまった。
「あっ、待ってよー!」
俺はそれを慌てて追いかける。追い付いて岸山クンの顔を覗きこむとなぜか、かぁなりムスッとしたお顔をでいらっしゃる。
「えっ、怒ってんの?」
「別に」
うっそだぁー、その言い方は嘘だね! 俺だって分かるもんね。
「なんでなんで?」
「お前がバカだから」
「はぁ? なんだよそれぇ」
「バカバカバカバカ」
そんな風に言われるとムカムカ。温厚な俺だって思わず大きな声を出す。
「俺バカじゃないもん! なんでそんなこと言うんだよ!」
恨みのこもった目で岸山クンを見上げる。
すると岸山クンはすごぉい怖い顔になって目を吊り上げた。
「んなことも分かんないからバカっつってんだ! 俺の気持ち全然分かってないんだよお前は! バカマタ!」
そう言うとスタスタ岸山クン先に行ってしまった。
俺はあまりの迫力にびっくりして固まった。
「………なんなの?」
さすがにそこまで俺バカじゃないから分かる。岸山クンの言ってる意味ってヤツ。
いや、でも、もしかしたら俺ホントにバカかもしれないからカンチガイかもしれない。
かもしれない……けど、俺告白された?
どうすればいいの? テルミーカミサマホトケサマ……。
誰か教えて下さい……。
end
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