8

 俺は下を向いて膝をひたすらサスサスしながら喋る。

「俺、友達に羽山さんのこと相談しててそんで友達に、俺も同じことすればいいって言われて、そんでとりあえず浮気してるふりをしようってなって、だからそいつにキスマークつけてもらって、そしたらなんか変な雰囲気なって…そんでチューとかしちゃって…ちょっとちんことか触られたし、でもそこで他の友達が来たから俺帰ってきて……」

 早口でそこまで喋ったけど羽山さんからは何もなくて、やっぱり俺は膝をサスサスする。
 サスサス、サスサス、サスサス…。
 それでも羽山さんは何も言いません。
 サスサス、サスサス、サスサス…。
 俺やっぱり嫌われたかなぁ。
 サスサス、サス、サス……サ、ス。
 膝を擦る手が止まっていく。
 サス、ポタ、ポタ、サス……。
 いつの間にかズボンに染みが点々とできている。
 ポタ、ポタ、ポタ…。
 俺の涙がズボンに水玉模様を作っていく。
 泣くくらいなら最初からやるなよバーカって心の中にいる意地悪な俺が言う。正論だった。

「…鎌田は悪い子だね」

 ぽつりと羽山さんが言った。
 呟かれたそのお言葉の意味がいまいち俺分からない。
 でも羽山さん怒ってるんだと思う。水玉がどんどん歪んでいく。

「は、はやまじゃん、おでと、っわ、わがれるんですがぁぁぁぁあ」

 そう言った途端に、ぶぇあぼばぁぁぁと汚い音が俺から溢れ出していく。顔はもはや汁だくでべちょべちょのぐちゃぐちゃだ。
 ずずずずと鼻を啜って顔をあげると羽山さんがいない。
 え、嘘でしょ帰ったの? え、マジで?



[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -