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逃げるように走りながら─いや逃げてるんだけどね─家に帰るとまず鍵とチェーンをかけた。
走ったせいで汗だくだから、とりあえずシャワーを浴びよう。いつものシトラスの香り漂う爽やかボーイ鎌田君に戻ろう。羽山さんにもよく言われたもんね。鎌田はいい匂いがするって。ベッドでレスリングを繰り広げたあとに…うふ。でもそのあと自分の匂いを嗅いでみたけど、あんまり分かんなかった。でも羽山さんが言うんだからきっと俺はいい匂いがするんだと思う。
「鎌田?」
はぁいと振り替えると羽山さん。
え、なんでいるの?
「携帯見てない? 連絡したんだけど…」
そう言われて慌てスマホを取り出す。この前羽山さんに買ってもらった、羽山さんと色ちがいのスマホ。それを取り出すと俺は慣れない手つきでロックを解いて、確認すると……あ、メッセージ来てる。
今から鎌田んとこ行ってもいい?
15分後にもう一つ。
悪いけど外暑いから部屋の中で待ってるね。
この頃俺は岸山サマにチュッチュされてた……。それってなんだかすごい罪悪感。
「あ、ご、ごめんね。気が付かなかった」
「いや、俺勝手に部屋入っちゃって悪かったよ」
それはいい。だってそのために合鍵渡したんだもの。
だけどだけど、今の俺キスマークつきまくりの乳首ちゃんがお元気だしちんこはちょっとベタついてるし急いで服着たからなんか乱れてるすごく悪いやつ。
羽山さんの笑顔がなんだかとっても胸に痛いの。
「お、俺ちょっとシャワー浴びてきていい?」
「うん。出てきたら、ケーキ買ってきたから一緒に食べよう。レアチーズあるから」
ズキズキ。
羽山さん、ごめんなさい…俺ってとっても悪い子。
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