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それから二ヶ月、コナタはランバルトに多少ドキドキしながらも穏やかな日常を過ごしていた。学友もでき、毎日が充実していた。 しかし一方でナユタのいる南の国で内戦が激しくなっていき、ランバルトはその情報を聞くたびにナユタの身を案じずにはいられない。
コナタとて南の国の状況は耳にすることもあるだろう。しかしランバルトの前ではもう泣くこともない。コナタも少し成長したのか、それとも強がっているだけなのか。ランバルトは考えずにはいられなかった。
(ま、強がっているだけだろうな…)
きっと自分の見ていないところではナユタを思って悲しんでいるんだろう。ランバルトはそう思った。
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それぞれが不安に包まれたまま過ごしていたある日、コナタのもとへ外報が届いた。
南からのそれに、コナタはナユタの手紙だと思い喜んだ。
しかしよくみると送り手にはナユタの名前ではなく何かの機関の名が書いてあり、コナタにはそれがよく分からなかった。
でもきっとナユタに関係することだろうと、コナタは手紙の封を開けた。
中にはナユタの働く採掘場に反政府の集団が攻撃をしかけ、ナユタがそれに巻き込まれたのことだった。生存は確認されていない。冷たく書かれた文章だった。
「う……あ…う」
コナタは言葉も出ず、辺りを見回す。ランバルトはまだ帰ってきていない。
「うわぁぁぁぁぁ!」
コナタは手紙を放り出すと叫んで部屋へ逃げ込んだ。
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