5
酒飲んで騒いでればなんか暑くなってきた。
「あー暑い。服脱いでいい?」
「おー脱げ脱げ」
俺はさっそくワイシャツを脱いだ。ズボンも脱ごうとベルトに手をかける。
「下も脱ぐのかよ?」
「え、だめ?」
「だめっていうか…」
うぅんと目をつぶって唸り出した中田はなかなかうんと言わない。
痺れを切らした俺は中田を無視してズボンを脱いだ。
「うーん、すっきり!」
「あー脱いじゃったよ……ま、いいけど」
「中田、今日は飲むぞー!」
ワイシャツを振り回しながら叫ぶとなんだかとっても楽しい気分。
俺はさっそく次の酒を飲もうとテーブルに置いてあるのを取ろうとした。だけど、床に置いてあった自分のズボンに足を引っ掻けた。
間抜けにもそのままズドンと転ぶ俺。
「いってー……あ、中田ごめん」
「真太郎、重いっす…」
「わりわり、今退くよ……てなんだよ放せよ」
中田に覆い被さっちゃったから退こうとしたのに、なぜか中田の手が俺をはなさない。
「いや、よく考えたらこれチャンスだなって…」
「はぁ?」
「前、言っただろ。俺にしない? って。真面目に考えてみろよ」
「え……あ、ちょっと、中田…!」
いやに真剣な顔で中田が言うもんだから戸惑ってると、中田の顔が近づいてきた。
だ、だめ…! ファーストキスはゆうちゃんって決めてるんだから!
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