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それからというもの美少年はいちいち俺とゆうちゃんの間を邪魔しにきた。
「ねぇ、ゆうちゃんたべっこ動物一緒に…」
「ゆう〜、オレオ食べよ!」
「ゆうちゃん、あのさDVDを俺の家で…」
「ゆう〜、映画のチケット当たったから一緒に行こうよ〜」
「ゆうち──」
「ゆう〜、一緒に帰ろー」
ことごとく俺からゆうちゃんを奪い、そして最後に必ず俺に向かってこう言うのだ。
ブスはひっこんでな。
「俺不細工じゃないし! 不細工じゃないし! ねぇ、中田!」
「そうだなぁ、さすがに弥生さんまで綺麗じゃないけど」
「あの女男と比べんなよ!」
ゆうちゃんをとられてしまったからしかたなく中田と遊んでいる放課後。
しかーし、さすが真太郎君! ゆうちゃんは今日女男とゆうちゃんの部屋で遊ぶことが分かってあるので、ゆうちゃんの隣に住む中田の家へとやってきたのであーる。
「しかしあの女男、ゆうちゃんのなんなのだ」
「あれ、知らない? あの二人従兄弟だよ」
従兄弟……
「そ、そんなぁ! 従兄弟じゃあ結婚可能じゃないか…!」
「……その前に二人は男だ」
「あ、そうだ」
こんな馬鹿なボケをしている場合じゃない。
隣のゆうちゃんたちを観察しなければ…!
双眼鏡を手にそっとゆうちゃんの部屋を覗く。
「真太郎、裸眼で十分見れるぞ」
「通りでよく見えなかったわけか」
確かにゆうちゃんと中田の部屋はその気ななれば窓から行き来できるくらい近い。
改めてゆうちゃんたちを観察する。なんかの雑誌を二人で読んでいるようだ。
あ、ボディタッチ!
あ、ゆうちゃんが笑ってる!
「な、なんか仲良さそう……ん? なに中田。何してるの?」
「いや、俺もよく見ておこうと思って」
俺に覆い被さるように密着してくる中田。
「ゆうちゃん、俺といるより楽しそう……」
「そりゃあ、昔馴染みの従兄弟とただのパシりじゃあな」
「俺のこと好きって言ってくれたのに……」
「好きって言えば都合良いパシりやってくれるんだから、そりゃ言うよな」
「ゆうちゃん、俺のこと嫌いなのかな…」
「好きか嫌いかって言ったら……うーん、きっときら──」
「もう! なんなんだよ中田!」
後ろから変なちゃちゃいれやがって!
ムカついた俺はグルッと振り返った。
すると思ったより中田との距離が近い。
離れようとするけど、俺は窓際で動けるスペースがない。
「離れろよ」
「やーだ」
中田をグッと押すけど中田は笑って動かない。こいつぅ。
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