3
森に行くとすでにユコフがいた。約束の時間より遅れていたから当然だろう。
「ユコフ!」
「ムーシャ、来たか」
久しぶりに会えたのが嬉しくて思わず抱きついた。
「元気だったか?」
「うん! 最近来れなくて悪かった。今日もさーチェルがうるさくてさー」
「ほう」
「でもからかったら顔真っ赤にして倒れちゃった」
その時の様子を思いだして思わず笑ってしまう。チェルったらみっともない姿だったなぁ。
「仲良いんだな」
「まぁね。幼なじみだし」
「そうか…」
俺はユコフ腕を掴んで見上げる。したいなぁっていう俺なりの合図で笑いかけてみるんだけど、ユコフはなんだか仏頂面。いや、もともと表情豊かじゃないし無表情がデフォルトなんだけどさ。
「ユコフ?」
「ん、なんだ?」
「……早くしようよ」
改めて言葉にして言うと恥ずかしい。いつもは言わないし。
「そうだな、ふふ」
「よっしゃ、待ちわびてたんだからな」
恥ずかしさをごまかしたくて小突いてみる。
するとユコフの手が顔に近づいた。
そっと頬が撫でられる。
「……俺もだ、ムーシャ」
ユコフとキスをした。
久しぶりの唇は暖かかった。
[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]