5

 キスされてなにがなんだか分からずぼうっとしていると岸山サマのおててが、わたくしめの息子に伸びてきてこれまた頭が真っ白になりました。
 しかしながらキスはどんどん深くなり、お口の中でベロとベロがレスリング。
 息子もいつの間にかズボンの中から出てきてコンニチハ。岸山サマがご丁寧に握手をしてくださいます。

「んっ、んぅぅ、んっんぅん!」

 岸山サマに息子をニギニギされてもう何も考えられないっていうか、キモチイイー。
 しかし、なるようになってしまえ、と考えた瞬間ピンポンが鳴った。

「きーしやーま君。あーそびーましょ!」

 この声は山田だ
 俺は慌てて岸山サマから離れて、服を整えた。
 岸山サマは不機嫌そうに舌打ちして、玄関に向かった。

 そのとたんに、急に頭が冷静になってやべぇと気付いた。俺、マジ浮気するところだった……しかも男と。羽山さんと付き合ってるけど、俺ゲイっていうよりバイだから浮気するなら女の子かななんて思っていたけど、まさか岸山とそんな雰囲気なるなんて。うわぁやべぇ、恥ずかしい!
 それに乳首ちゃんやらマイサンやら見られちゃったし、いや、それはまだいいけど。なんかエッチな声出しちゃったし…!
 し、死ねる。

「えー、遊ぼーよ! てか誰かきてんの? ねーねー」
「うるせーな。誰も来てねーよ」
「えーでも靴あるよ?」

 山田と岸山の会話が聞こえた。
 や、やばい。今なんか聞かれたら何もごまかせない。そして山田は変に鋭い。
 さっさと帰ろう。そしてオナニーしよう。
 そうと決めたら俺はさっさと荷物をまとめ、玄関へ向かった。

「や、やあやあやあ! 山田君じゃないか! ははは、僕はもう帰るとこだったんだよ! はは、じゃあまた大学でね! ははっ!」

 いつも通りの自分を目指し、なんとか動揺を隠した。

「鎌田かぁ。へぇ……ふぅん。わかったぁ、また大学でね」
「はは、失礼するよ!」

 どうやら誤魔化せたようだ。山田すんなりと通してくれた。

「あ、ねぇ待って」
「うん?」
「首、キスマークついてるよ?」

 にやりと笑った山田にそう言われ、俺は走って逃げた。


[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -