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「チェル、おねがぁい…」

 チェルが俺のお願いに弱いことは知っている。
 チェルの服をクイッと手で引っ張ってそっと見上げれば、チェルが狼狽えたの感じた。

「ダダダダ、ダメだよ!」

 だけどチェルは何かを振り払うかのように頭をブンブン振って、そう叫ぶ。

「なんで? チェルの意地悪!」

 ムッとしてそう言うと、チェルは顔を赤くして「だ、だ、だ、だって……その……」とモジモジしだす。きもいなぁ。

「い、い、イヤらしい事するんだろ?」
「はぁ?」
「そんな目で見ないでくれよ!」

 こいつは何を言ってるんだ?

「ムーシャは森で男と…その……せ、せ、せ……」
「セックス?」
「あ、え、いや、う、そう、それ。え、と、つまり君は森で、そ、それをしてるんだろ?」

 なんでいちいちどもるんだろうか。
 聞きづらいって言ったらありゃしない。

「まぁ、そんなときもあるけど最近は何もしないこともあるよ。それがなに?」
「そ、そんなことしちゃダメだよ! 君はまだ子供なんだから!」
「俺、子供じゃないよ」

 俺もうガキじゃない。
 俺はグッとチェルに近づいた。

「なんでそんな風に言うの? セックスって気持ち良いよ?」
「む、ムーシャ…」

 息を感じるほどに近づいて、チェルを見つめる。今にも唇が触れあいそうだ。

「……チェルもしてみる?」

 ふ、と唇に息を吹き掛ければチェルの顔がゆでダコみたいにまた真っ赤になる。

「あ、う、あ、わぁぁぁ!」

 チェルは絶叫したかと思うと、バタンと後ろに倒れた。
 近くによって見てみると、どうやら失神したみたいだ。
 よし、今のうちに森へ行こう!



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