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 五分ぐらいドアの外で待ってたけど、ミッキーが迎えに来ることはなかった。
 俺は顔を汁だらけにしながら家からすぐの公園に行ってユラユラ揺れるパンダ君に乗りながら缶コーヒーを飲んだ。
 そうしてミッキーを待ってたけどミッキーは来ない。
 コーヒーは飲み干してしまった。
 着の身着のままきたから寒いし、そろそろ帰ろかな、いやまだ帰ってやるかとか考えているとキキーッと自転車が止まる音が聞こえた。
 ミッキー!? と顔をあげると、懐中電灯を持ったお巡りさん。

「こんばんは、どうしたんですか?」
「あ……」

 ちなみに今は深夜2時。俺はパンダ君に乗りながら、目を真っ赤に腫れさせているイイ年した男。
 明らかにお巡りさんの目が怪しい者を見る目だ。

「へへへへ! いやね、なんでもありやせんよ、へへへへ! すぐ帰りますから!」

 焦って声が裏返ってしまったのは見逃して欲しい。


******


「それで、なんでこんな時間に公園にいるの?」
「仕事はしてるの?」
「荷物チェックしていい?」

 いつの間にやらお巡りさんが応援を呼んで2人新たにお巡りさんがやってきた。
 そして質問攻め。

「いや、ちょっと同居人と喧嘩しちゃって……」
「ふぅん。それでちょっと頭でも冷やそうと思って公園に?」
「いや、追いかけてこないかなぁって…」
「あー、で来なくて公園に?」
「うん……」

 なんでこんなことを説明しなきゃいけないんだよ。

「でもさぁ、お兄さん。こんな時間に大人が公園でオモチャの乗り物に乗ってユラユラ揺れてたら怖いからさー」
「はい、すみません…」
「ちなみにお仕事は?」
「あ、普通のサラリーマンです」
「そっかそっか。じゃあちょっと最後にポケットだけ見せてねー」

 ポケットにはいくらかの小銭と家の鍵だけ。
 爽やかな笑顔でお巡りさんたちは「もう喧嘩しちゃだめだよー」と言って去っていた。
 なんだかとっても疲れた俺は家に帰ることにした。


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