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たっちゃんの反応が楽しみでワクワクするけど、今気になるのは女の子のこと。あのこ、俺と同じ駅で降りてからずっと一緒なの。もちろん俺のほうが歩くの遅いから彼女が先を歩いているんだけど、ずっと一緒で俺まるで彼女のストーカー。
不思議なのは同じ制服着てるんだから、学校行くなら学校の最寄り駅である後2つ先のとこで降りればいいのに、そうじゃなくて俺と同じ駅で降りたってこと。俺はたっちゃんを迎えに行くからいいんだけど、彼女はなんで俺と一緒に住宅街に入っていくわけ?
まぁでもなんかの偶然だよね、なんて思いながら歩いて行くとたっちゃんの家が見えてきた。あとちょっとだ! と思わず笑顔になる。
が、しかしあの女の子もたっちゃんの家のとこで止まった。
え、どういうことなのよ。
女の子がピンポンを押すとしばらくしてドアが開いた。
中からでてきたのは、俺の愛するたっちゃん。
………そんな! たっちゃんなんでそんな笑顔なのよ。わぁ、嘘、見つめあって、そんな密着して! ハレンチ!
仲睦まじそうな二人の様子に俺は呆然としてしまう。
だって、そんな、そりゃたっちゃんモテるけどさ……
カターン! と松葉杖を落とした瞬間、二人が振り返った。
「ま、町田!」
たっちゃん、目を見開いてびっくりしてる。
確かにびっくりした顔見たかったけど、なんか違う……
「た、たっちゃん…」
「お前こんなとこでなにしてんだよ! 退院は来週だろ!」
「お、俺…」
女の子置いて、俺のとこに来たたっちゃん凄い剣幕で怒鳴る。
「1人で来たのか? おばさん逹は?」
「ひ、1人…」
「はぁ!? 危ないだろ! 何やってんだよ!」
「だ、だって」
「だってじゃない! この馬鹿!」
ひ、酷い。俺はただ、ただ、たっちゃんを喜ばせたかっただけなのに。
「そ、そんな言い方しなくてもいいじゃないか!」
「は」
「たっちゃんのお馬鹿!」
でも好き。でも酷い!
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