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 とりあえず俺は浮気していた頃の羽山さんを思い出して同じ行動を取ることにした。
 頻繁に携帯を弄る。デートが減る。最後にゃキスマーク。
 思い出しただけでブロークンハートな嫌な思い出。

「キスマークから始めよう」
「えっいきなりそこ!?」

 驚いて岸山サマを見るとこっくり頷かれた。

「お前は馬鹿だから嘘がバレやすい。その点、キスマークは嘘も何も、あるんだから大丈夫だ」
「なぁるほど……って酷い」

 馬鹿って、馬鹿って……
 でも岸山サマがおっしゃるんだからそうよね。キスマークにしたほうがいいのよね。

「分かりました!」
「それじゃあつけるか」

 あら、と思ったら岸山サマがぐっと俺に近付いて覆い被さってくる。とりあえず倒れたほうがいいかしら、と横になる。
 すると鎖骨に岸山サマが口をつけて、ピリッと一瞬肌が熱くなる。
 おお、俺キスマークつけられてる!

「岸山サマ、どうですか?」
「んー、もうちょっと」

 そしたらまた今度他のところが熱くなって……。アラ何個かつけるのね!
 いやだわアタシったら彼氏がいるのに他の男にキスマークなんかつけられちゃって悪い女!
 そんなことを頭で喋っていますと、なんだか太ももあたりをですね、サワサワと岸山サマの手が触っていることに気付いたのです。

「あの、岸山サマ……?」
「なに」
「……この手はなぁに…?」

 チョコンと岸山サマの手に触れて尋ねます。


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