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「それでな、ハーゲンダッツとか買ってきてな……」
「うん。元サヤね」

 羽山さんの愚痴を聞いてくれるのは、俺逹の関係をただ一人─多分もしかしたら知っている人が他にもいるかもしれないけど、俺が知る限りで、関係を知っている人は一人だけ─知っている友達の岸山。

「はぁ、お前さぁ甘いのな」
「うっ、それは否定できない」

 岸山は呆れた顔で俺を見る。
 そんな目で見ないでよ。だって俺、羽山さんに弱いんだ。

「エミチャンで四回目だろ。大丈夫なの。羽山さんの下半身」

 制御不能です……
 なんとか修理を試みましたが、今のとこ変わりありません。無念です。

「でも、結局は俺のところに帰ってくるんだし…」
「そうだけどさ……」

 はぁー、と岸山クン深いため息をつくと一言こう言った。

「お前、ナメられてるんじゃない?」

 ナメラレテルンジャナイ?
 それはアンナところもコンナところもイヤァラメェなところも舐められてはいますが……

「浮気してもさ、結局は許してくれると思ってんだよ」

 それはあるかもしれない。

「また浮気されて、また傷つくの? ここらで一発絞めといたら?」

 岸山、キュッと首を締める動作して言う。
 それじゃあ俺捕まっちゃうよ。

「岸山サマ、それは、つまり……?」
「つまり、目には目を。浮気には浮気を。同じ目に合えばどれだか嫌かわかるんじゃない?」

 そう言う岸山サマは後光が射しているように見えた。
 天才だ。神様仏さま岸山サマ! はー、ナンマンダブナンマンダブ。


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