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羽山さん、黙ったままスマホ取り出して電話をかけ始めた。
「あ、今ちょっといい? うん、実はさ別れたいんだ」
あっさりと羽山さん言った。微かに聞こえる女の子の声。すっげぇ怒ってる。
「うん、うん、ごめんね。いや、そういうことじゃないんだけど。やっぱり無理かな」
はぁぁ? とかふざけんな! とか女の子言ってる。
そりゃあそうだよね。中野のでラブエッチした二日後にイキナリふられるんだもん。
「うん、うん、そうだよね。でも無理だから。それじゃ」
羽山さん女の子の叫ぶ声する電話を切った。
「別れた」
「うん」
羽山さん俺見て言った。俺頷いた。
少しすっきり。ざまあみろエミチャン。羽山さんは俺のモンだぜ。
だけどエミチャン。羽山さんよりイイ人とごまんといるからそっち探してイイ人見つけなよ。
こいつはちょっとろくでもないぜ。
「………スマホ、明日買って下さい」
「うん、分かった」
羽山さんに抱きしめられてちょっと涙がホロリ。
「もうこんなことやめて下さい」
「うん、しない。もう鎌田が悲しむことはしないよ」
本当かなぁ。信用できないのが数ある羽山さんの悪いところの一つ。
そしてそんな羽山さんにほだされてしまうのも、数ある俺の悪いところの一つ。
ねぇエミチャン。俺と羽山さん。意外とお似合いだと思いません?
end
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