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「そりゃあ可愛いエミチャンに夢中で、俺のことなんか忘れちゃいますよね」

 大将! 敵撃ち取ったりぃぃ! 敵は壊滅! 再起不能です!
 羽山さん項垂れて下向いてる。

「中野のホテルに12時頃でしたっけ? いやあお盛んですね」
「………ごめんなさい!」

 いやいや、そんな。謝らなくいいんですよ。若いってことじゃないですか。うん、素晴らしい。素晴らしいよ。
 感動して涙出ちゃう。
 羽山さんさ、なぁんにも分かってないのね。
 食べ物なんかもらっても嬉しくないよ。そりゃあ魅力的ではあるけど嬉しくないよ。
 羽山さんは俺を食べ物なんかで許すバカちんだと思ってるんでしょ。
 開口一番に謝罪じゃなくてご機嫌取りのゴディバなんて呆れちゃうぜベイビー。

「羽山さん、俺傷ついた」
「うん」
「スマホも落として割れちゃったし、おかげで散々だよ」

 悪いやつだと知っていた。されど止められない恋心。
 ああ、悲しや
 大将、僕もう疲れたよ…

「駄馬はいりません。欲しいのは忠誠心溢れる名馬です」
「うん、分かった」
「分かってません。羽山さんなんにも分かってません……」

 そりゃあ今までにもマリチャンとかショウコチャンとかいたけど俺我慢してきたの。だってなんだかんだいって帰ってくるのは俺のところだったから。

「正直別れたいです」
「えっ!」
「でも、まだ第三小隊が戦いたいっていうから」

 大将疲れたからおうちに帰ろうかと思ったんだけどまだ頑張るっていうやつがいるんだよ。
 だから条件付きで続けてやろうと思うんだ。

「スマホの弁償して下さい。あとエミチャンとは今サヨナラして下さい。ゴディバたちは俺が貰います」

 それが無理なら俺たちも無理ってことさ。
 羽山さん、どうするの? 俺の目、腫れてるの気付いてるでしょ?


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