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怒ってるんだぞ、と俺は顔に肩に足に、つまりは全身を使って表す。
ふーんだ、ふーんだ、可愛い女の子なんでしょ。山田君によるとエミちゃんって言うらしいけど、そのエミちゃんとラブホテルで合体したんでしょ。まぁ、なんて不潔なのかしら! 不純異性交遊禁止よ!
「鎌田。怒ってる?」
当たり前でしょ! 俺はツーンとそっぽを向いて意思表示。
「鎌田、お前の好きなゴディバ買ってきたんだけどいる?」
ゴディバ!
俺は思わず羽山さんを許しそうになるが、いかん!
ゴディバといえば俺は天に昇っちゃうほど好きなんだけど、羽山さんてばそれ知ってるからズルい手使ってきた。
でもだめ。俺はちゃんと羽山駄馬の手綱を握ってムチでペンペンしないといけないんだ。こら! イケナイ子! 種付けぐらい我慢しなさい! 俺という立派な騎手がいるんだから!
「いらないです」
「まあそう言わずに。ハーゲンダッツもあるよ」
ぐぬぬ。
大将、敵はかなりの強敵です! ゴディバとハーゲンダッツを仲間に付けて来ました! 我が軍は大分負けてます! どうしますか、和平条件「浮気を許す」を認めますか!?
いや! まだだ! まだ戦えるぞ! 頑張るんだ。羽山軍に屈するな!
「い…いら、いり……いらないです」
やった! 持ちこたえた! 持ちこたえました鎌田軍! かなり惜しそうですが、なんとか敵の攻撃を避けました!
よし、そのいきだ! このまま行くぞ!
「か、鎌田の好きなベイクドチーズケーキもあるよ!」
ぐぬぬぬ。
我が軍もここまでか……ってあれ?
俺、別にベイクドチーズケーキ好きじゃない。好きなのはレアチーズケーキ。
大将! 敵に隙が出来ました! つつくなら今です!
よし! 全軍いっけぇぇぇぇぇぇ!
「俺、ベイクドチーズ好きじゃないもん」
「え…」
「好きなのはレアチーズだもん。そんなのも覚えてないんだ」
羽山さん焦ってる。やーいやーい。
大将、好調です!
でかした! 褒美に敵から奪い取ったゴディバとハーゲンダッツをやろう!
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