3

「フォルト、毛をとかしておくれ」
「はい!」

 契約してから数日。
 フォルトはなかなか使える少年だ。
 どうやら金持ちのようで、食事は美味しいし寝床は心地いいし、素晴らしい待遇だ。まぁ、この私に対する待遇が良いのは当たりまえなのだが。私は天下のアミラスなのだから。

「アミラス様の毛は本当に柔らかくて美しくて素晴らしいですね…」
「まあな」
「あぁ、うっとりしちゃう…」

 私の毛を整えながらフォルトは目をうっとりと細め熱い息を吐いてそう言う。なかなか私に惚れ込んでいるようだ。

「それで何度も聞いたが、本当にお前の家族にはフォートはいないのか?」
「え………えぇ! いませんよ! アミラス様の最初の契約者であるフォート=キッシュが僕の父親だったりなんかしませんよ!」
「そうか……、とても似ているから親族かと思ったんだがなぁ」

 またフォートに会えるかもしれないと淡い期待をしたが、どうやらフォルトはフォートをしらないらしく、フォートに会うことは叶いそうにない。

「まあ良い。お前はとても私好みだし」

 私がそう言うと、毛をとかしているフォルトの手が止まった。
 振り返ると、フォルトが拳を握って上にあげながら頭をブンブン振っている。

「ふぉぉぉぉ!」
「………何やっている。毛をとかせ」
「あっすみません! うへへ」

 フォルトは顔はフォートに似ているが、中身は全く違っていた。
 フォートはもっと賢そうだった。………フォルトはなんというか、変わっている。それが、また新鮮ではあるが。



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