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私は最高位の魔獣だ。白く透き通るような毛並みに、深海のような深い碧眼。何よりも溢れでる豊満な魔力。
魔術師たちは私に憧れを抱き、召喚して契約しようとやっきになるがそう上手くはいかない。
私が認めるような力溢れる魔術師でないと。
そして今日もまた誰かが私を呼び出した。
「あぁ、来てくださったんですね!」
喜びの声を挙げたのはまだ声が高い小さな少年だった。
この年で私を呼べるとは、と私は感心して少年を見つめる。
「ぼ、僕フォルトって言います! アミラス様、僕と契約して下さい!」
少年はペコリと頭を下げた。
か、可愛い! この少年、とても愛らしい。そしてどこかで見たことがあるような…
私は顔をよく見ようと近づいた。
「あ、アミラス様?」
驚いた少年が顔を上げる。
茶色の髪に、緑の目、この顔は…!
「フォート!」
なんと私の初恋の人にそっくりだった。
「え、僕はフォルトで」
「お前、フォートにそっくりだ! なんて可愛い顔!」
私は喜びで舞い上がった。
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