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「……ショーン」
葬式が終わり、俺は元恋人には声をかけずに帰ろうとした。捨ててきた恋人に何を言えばいいのか分からなかった。
だけど、あいつは声をかけてきた。
「やぁ、久しぶりだね……」
「………あぁ。今回は、本当に残念だったな。お母さん、まだ若かったのに」
微笑むあいつは五年前とそう変わらない。俺も笑顔を返した。
「………母はバチが当たったんだよ」
「お、おい、何を言うんだ」
俺はとんでもないことを言う元恋人に焦った。ここは教会でましてや今は葬式したところでまだ人がいる。それに亡くなった人を悪く言うのは良くない。
「母の遺言に書いてあったよ。ショーンに何したかって」
その言葉に俺は固まってしまった。
「それと後悔してるってあった。君に謝りたいとも。随分勝手な人だよね」
教会の真ん中に2人で突っ立っている。すぐ後ろには沢山の人がまだいる。
だけど俺は何も言えなかった。
「僕は君がいなくなってから本当に死人同然だったよ。母はそんな僕を見て間違いに気付いたみたいだね」
なんてことだ、あの人は最後になんてことをしでかしてくれたのだろうか。処理しきれない爆弾を点火したまま残していきやがった。
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