1

 休日、夜中喉が渇いた俺はコンビニに向かっていた。
 コンビニに入ると、深夜のため眠そうな目をした店員がだるそうに、いらっしゃいませと言う。
 俺はビールでも飲もうかな、と売り物を眺める。

「あら、あなた…」
「はい?」

 後ろから声をかけられて俺は振り返った。

「え、エリザベス!」
「奇遇ね」

 エリザベスもオフなのか何時ものコスチュームは着ておらず、ラフな普通の格好をしていた。

「う、うん…」

 俺は頷き、下を向く。エリザベスの顔を見ると、この前の戦いの時を思い出してしまいなんだか恥ずかしいのだ。

「あら、どうしたの。顔が真っ赤よ」
「え、あ…別に…何でも」

 クスリと笑われて、俺は誤魔化そうとさらに下を向こうとした。が、エリザベスの手がくいと俺の顎を上に上げた。

「何でもないの?」
「あ……」

 そう言って笑うエリザベスはとてもいやらしい。
 オフのエリザベスはメイクをしていない。だけど綺麗で、そしていつもより男らしい。
 そんなエリザベスに俺は戸惑ってしまう。

「ねぇレッド、なんだか顔が熱いわ。熱があるんじゃない?」
「わ、かんない…」
「そうよ、きっとあるわ。私の家、すぐそこなのよ。休んでいかない?」

 つつ、とエリザベスの指先が俺の首を撫でる。
 なぜか俺はこくりと頷いてしまったのである。



[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -