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「あぁキンラ、その事だけれど…」
「にいさまぁぁぁぁぁぁ!」
部屋の扉がバタンと開いたかと思えば、レイスの言葉を遮りやってきたのはかわいい末弟だ。
「にいさまにいさまにいさま!」
「無事だったのか、弟よ」
末弟は私の元に駆け寄ると、レイスを押し退け私の顔を舐めながらブンブンとしっぽを振る。私は弟に会えた喜びで思わず涙がこぼれそうになった。
「他のにいさま達も元気です! キンラにいさまも無事で良かった!」
「そうかそうか! それは良かった!」
私は安心してホッと息をつく。
「にいさま達を助けてくれたのは僕とにいさまを拐おうとした…」
「僕」
「あ、そうです! この人があの黒い魔獣から助けてくれたんです!」
末弟の後ろからニュッとレイスが顔を出す。
なんと、レイスが重症を負った弟たちを助けてくれたらしい。
「ほら、可愛い君の家族だからね」
「レイス……なんとお礼を言えば」
レイスは私達家族の命の恩人なのだ。
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