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次の日、たっちゃん来てくれた。
「手術決まったって、聞いた」
たっちゃんが嬉しそうに笑ってる。たっちゃんが笑ってると俺も嬉しい。
「あ、そうだ。俺、やっとマルト読み始めた。意外と面白いのな」
たっちゃんほっぺたを掻きながらなんだか恥ずかしそう。
だから言ったでしょ? たっちゃん漫画あんま読まないけど、マルトはきっとハマるって。
それからたっちゃんは最近のクラスの様子とかを話してくれた。山田先生、ハゲが進んだらしい。可哀想に。いつも教科室で、鏡覗いて心配そうに頭見てたの俺知ってるんだ。
「………最近あんま来なくて悪かったな」
たっちゃんはちょっと気まずそう。
いいのよ、俺、その気持ちだけで嬉しいから。
「実はな、驚くと思うんだけど俺バイトしてたんだ」
おおう。本当に驚いた。
面倒臭がりで月の小遣い二万のたっちゃんがアルバイト?
「クラスのみんなもしてる。だから、最近俺とか田中、進藤は見舞いに来れなかったんだ」
そうなんだ。……なんか嬉しい。俺、忘れられてたわけじゃないんだ。
でも、なんでみんな揃って?
「………あのな、手術費用少しだけだけど、俺らクラスで負担させてもらおうと思って。みんなでカンパしたんだ。50万も貯まった」
た、たっちゃん!
「おじさんたちが受け取ってくれるかは分からないけど………でも、俺………」
たっちゃんは黙ってしまった。
50万、凄い大金だね……。
みんな、俺のためにそこまでしてくれたんだ。
「………町田?」
俺、凄い嬉しい。凄い、凄い、なんて表現すればいいんだろうか、とにかく胸が嬉しさでいっぱいになってなんだか辛い。
「な、泣くなよ」
泣かずになんかいられない。
だって、だって、たっちゃんがあのたっちゃんが俺のためにここまでしてくれたなんて。クラスのみんながバイトまでしてくれたなんて。
おろおろとたっちゃんがうろたえながらハンカチで俺の涙を拭ってくれる。そのハンカチ、俺があげたパンダくんのやつ。
嬉しい。とっても嬉しい。
俺、やっぱりたっちゃんが大好き。愛してる。
手術して、治ったら真っ先にそう言うんだ。
たっちゃん、だから待っててね。
end
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