1

 いつの間にか季節は冬から夏に変わっちゃったみたいで、パパはスーツ来て暑そうにしてた。

「クールビズだけど、やっぱりワイシャツは暑いなぁ」

 パパはうちわでパタパタ自分を扇ぎながら俺を見る。
 うん、ワイシャツって暑いよね。分かるよ、パパ。首もととか汗がだくだく。
 去年よくコンビニにたっちゃんのお使いでアイス買いに行ったよ。たっちゃんはハーゲンダッツで俺ガリガリくん。もちろん俺持ちだけどへっちゃらだもんね。お使いから帰ったらたっちゃんがご褒美にイイコイイコしてくれたんだ。周りは笑ってたけど俺はめちゃくちゃハッピー。たっちゃんの手って暖かくて気持ちいいんだ。

「それでな、実はなゆうり。手術、できることになったんだよ。やったな!」

 わあお。パパ、目がキラキラしてる。凄いね、パパ仕事頑張ったんだ。

「1ヶ月後だ。きっとまだまだ暑いぞう」

 パパは嬉しそうに笑ってる。

「パパとママとゆうりでアイス食べような」

 ありがとうパパ。
 でもさパパ、大好きなビールのおかげでメタボ気味だったのにさ今じゃあパリコレもマッツァオなモデル体型じゃん? あんまり無理しちゃ駄目だよ。
 心配させないで。
 ………でもアイスは楽しみ!


*****


 パパはまだ仕事があるから、って帰った。
 ………たっちゃんは来ない。
 最近めっきり来なくなっちゃった。田中も進藤も。
 みんな付き合い悪いなぁ。酷いよね。
 それにたまに来てもたっちゃんは時計を頻りに気にしてあんまり居てくれなかった。態度もなんかちょっといつもよりイライラしてる感じ。俺なんか悪いことした?
 俺凄い悲しくて泣いちゃった。たっちゃんが見舞いに来てくれてるだけで幸せなことなのにね。
 田中たちは来てももうジョンプの読み聞かせはやってくれない。いつも、ごめんなこの後ちょっと用事があって、そう言って足早に帰っていく。うん、用事あるならしょうがないよね。でもマルトの続き、気になるんだよ。
 俺、だんだん一人ぼっちになっていくみたい。
 手術、成功するといいなぁ。
 そしたらまた、たっちゃんに愛してるって言うんだ。たっちゃんがもう俺のことどうでもよくなってても、いかに俺がたっちゃんのこと愛してるかを思い出させて、そんで、また一緒にアイス食べるんだ。



[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -