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助けを待ちわびていた私だが、中々来ないそれにだんだんと諦めがついてきた。
男が強い魔族だと知って、兄弟は助けるのは不可能と思ったのか。私の命より、一族の存亡を選んだのかもしれない。仕方ないことである。
夜、私は家族には届きもしない遠吠えを吠えるのである。
無性に寂しさが募り、そしてこの思いをするのが可愛い弟ではなくて良かったと思った。
「どうしたの?」
真夜中テラスに出て吠える私の声でレイスは目覚めたのか、眠たそうに目をこすりながら私の隣にってきて尋ねた。
私は何も答えかった。
「………キンラ、寂しい?」
だけどレイスは私の心の内が分かったのかそう言って、私の体を抱き寄せた。
「君を奪ってきたのは僕だけど………」
暖かい手が私の背中を撫でた。
「僕が君のそばにずっといるから」
なぜか寄り添うレイスを振り払う気にはならなかった。
******
その夜から私はレイスへの態度を軟化させた。つっぱるのにも少し疲れたのだ。
「キンラくぅん、さぁお散歩行こ?」
「うむ」
屋敷の庭は、庭とは言い難くまるで林だった。
どこか故郷を思わせるそこは、私を和ませた。
「日向ぼっこ気持ちいい?」
「構うな」
「ビーフジャーキーあるよぉ?」
「む! 貰うぞ」
そして、ビーフジャーキーとやらは美味である。
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