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「下界で子作りをしているものが書かれた紙束をみたんだ。それで調べていくうちに子作りは気持ちいいと分かった。だからしてみたい」
「え、え、え」
「でも父上と母上にはだめだと言われた。だからチェルならいいかと思って。チェル俺と子作りしよう」

 チェルは混乱した。可愛い幼なじみのお誘いに乗らない手はないが、ムーシャの父親にばれたら殺されてしまう。だけどあまりに魅力的、そして危険だ。
 チェルは余りの事態に頭がついていかないようだ。

「チェル?」
「む、ムーシャ! 僕には無理だ!」

 ムーシャの父親への恐怖が勝ったようだ。チェルは断腸の思いでそう言った。

「チェルまでだめなのか!」
「ご、ごめんよ。でもムーシャ、子作りはそう簡単にできるものじゃ」
「じゃあいいよ! チェルの馬鹿!」

 頼りになるはずの年上の幼なじみが期待を裏切りムーシャは乱暴にチェルの家をでていく。
 怒りのまま空を飛んでいき、近くの森にある泉のところで降りる。

「チェルなら子作りしてくれるかと思ったのに…」

 ちぇ、とムーシャは尻尾をびたん! と強く地面に叩きつける。



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テーマ「人外ファンタジー」
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