17

 ユーシスは先ほどの出来事をニリアに話そうか迷っていた。ニリアに頼らないで自立しようと決めたけれど、本当に話さずにいて大丈夫か。
 ユーシスは不安そうにニリアを見上げる。

「ん? どうかしたか?」

 ニリアはユーシスの視線に気付き微笑む。
 その笑顔に、ユーシスは話そうと決心し口を開いた。

「ニリア、実はさっき、実は──あっ!」

 しかしその瞬間、ユーシスは胸が締め付けられるように痛くなり、胸を抑えてしゃがみこむ。

「あ、ぁっあぁぁぁ!」
「ユーシス!?」

 ユーシスが胸を覗きこむとそこには小さな紋様が浮かび上がっていた。よくみるとそれは、生徒会室でデニスの手に浮かんでいた呪文の模様と同じだ。
 ユーシスはニリアに見つかってはまずいと、とっさに手で胸を隠す。

「どうしたんだ、ユーシス!」
「ぁ、大丈夫」
「大丈夫って、そんなわけないだろう! お医者様に見てもらわなきゃ」
「平気だよ、後で保健室に行くから」

 ユーシスは肩にあるニリアの手を振り払うと、逃げるようにニリアから離れる。

「ユーシス!」
「来るな!」

 ユーシスの悲痛な声に思わずニリアは追いかけていた足を止めてしまう。その隙にユーシスはニリアの元から走り去った。



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