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 そして後日、全校集会が開かれ正式にデニスの書記就任が生徒たちに知れ渡った。
 生徒たちの反応はまちまちで、下級生の反応はよかったが、上級生にはあまり名を知られていないためか、良い反応は得られなかった。途中入会が気に入らないものや、デニスへの嫉妬心からだった。かといって悪い反応ばかりだったというわけでもなく、デニスの就任を喜ぶ者もいた。
 一方、ユーシス達生徒会は最初はこんなもんだろうと踏んでいたので、予想通りの反応に驚くことはなかった。それに、露出が増えればデニスの人気も上がる。
 デニスには魅力があった。まさに、正統派美男子と言える整った顔。ユーシスやソモル、アートも顔は整ってはいるが、3人が人気なのはその人柄だ。だがデニスはその美貌で下級生の中で凄まじい人気だった。そんなデニスに生徒たちが食いつかないはずはない。

「うん、まあまあの反応だったね」

 集会後、生徒会室で四人はお茶をしながら話す。
 ソモルは生徒たちの反応に満足だったようだ。

「そう、ですか? ぼく…結構、睨まれました……」
「あぁ、それは仕方がないだろう。俺たちには親衛隊がいるからな」

 不安そうに話すデニスにアートは笑って肩を叩く。

「俺だって下級生の時に当時の会長の補佐をやった時は大変だった。彼の親衛隊にいっつも絡まれていたよ」
「え……じゃあ、ぼくも…」
「いや、そんなことはない。俺たちの親衛隊は比較的大人しいし、当時の親衛隊は過激だったからな。絡まれたりなんかしないさ」

 デニスを安心させようとアートは笑顔を浮かべ、明るい口調でそう話す。
 ソモルもうんうんと笑顔で頷く。

「それに、君は飛び抜けてかっこいいから誰も文句なんて言えないよ。むしろ虜になっちゃう」

 ソモルは茶化したように言う。
 デニスは照れたのか少し顔を赤くした。
 その反応に気を良くしたソモルは「あっはっは! 可愛いねぇ」と笑いながらデニスの背中をバンバン叩いた。

「お菓子ですよー」
「あ、待ってました! ほらデニス君食べなよ! ユーシスのお菓子美味しいよ〜」
「あ…はい! いただ、きます…」
「………チャンソ、後輩ができて嬉しいのは分かるがはしゃぎすきだ。マハラが困ってる」

 ユーシスがお菓子を持ってくると、ソモルは手ずからデニスにお菓子を食べさせようとする。困ったデニスにアートが助け舟を出した。

「あっはっは、すみません! デニス君、ほらもっと食べ」
「ソモル」
「ごめんなさい」

 アートに対して笑いながら謝り、しまいにはデニスの口にお菓子を詰め込もうとしたソモルにユーシスはキッと睨みをきかせる。すると瞬時にソモルは手を止めきちんと謝った。
 この差はなんなんだ、とアートは思いつつも、きちんとソモルを叱ったユーシスに「キリクボート、偉いぞ」と声を掛けようとした。

「私の分がなくなっちゃうじゃないか」

 アートは開きかけた口を閉じて無言でお茶を飲んだ。



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