11

 ニリアはキッチンへ立って茶を沸かし始めた。ユーシスは制服をハンガーに掛けて服を着替えている。

「ねぇ、それで風紀委員長とはどんな話しを?」
「うん、彼もお茶やお菓子作りに興味があるらしくてね、そんな話しさ」
「へぇ? 彼がね」

 嬉しそうに言うユーシスにニリアは内心苛立ちを隠せない。ニリアはあの堅物風紀委員長のユーキルが可愛らしいお菓子作りが趣味とは信じられなかった。大方、ユーシスと仲良くなりたくて言った嘘だろうな、と思った。

「創立祭の事を真摯に謝ってきたよ。騒動になって迷惑をかけたって」
「へぇ。……どこぞの黒魔術男よりはマシだな」
「ん? 何か言ったかい?」
「いいや独り言さ」

 ニリアに背を向けているせいか聞き取れなかったユーシスが振り替えるとニリアは笑顔でごまかした。

「さぁ、ユーシスお茶がはいったよ」
「あ、はあい」

 ユーシスは振り替えってキッチンへ向かう。ニリアはとろけるような笑みを浮かべるユーシスを見て、ドキンと胸が高鳴った。

「? ニリア?」
「あ、いや、なんでもないよ」

 顔を赤くするニリアにユーシスは何も思うわけではなくニコニコとお茶を飲む。

「やっぱりニリアのお茶が一番美味しいなぁ」

 そう言われてさらに顔が赤くなったニリアだった。



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