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ユーキルの周りにはどす黒いオーラが放たれていた。
「い、委員長ここにサインを…」
「……」
ユーキルは無言で書類を受け取りサインをするとスッと委員に渡す。
「あ、ありがとうございます」
委員は逃げるように自分の机へ戻っていった。
創立祭から1ヶ月。ユーキルはずっとこんな調子だった。
それもそのはず、大衆の前でフラれおお恥をかいたのだ。その上大好きなユーシスはあの気に入らないアイーヌと仲良さげにしている。ユーキルはかなりイラついていた。
どうにかアイーヌとユーシスを引き離して、あわよくばユーシスとお近づきたい。ユーキルはそう思っていた。
「……ちっ」
イライラは募るばかりである。
*******
生徒会室では面接が終わり、ユーシスたちが審議をしていた。
「彼、どう思います?」
「可もなく不可もなく、だな。しゃべり方が気に食わない」
「えー、僕は良いと思いますよデニス君。喋りはトロいけど言ってることはちゃんとしてたし」
デニスのトロトロしたしゃべり方にアートはイラつくようだ。一方ソモルは気にせず、デニスが気に入ったようだ。
「キリクボート、お前はどう思う?」
「そう、ですね。確かに口調がちょっとアレですけど、周りの評判や成績に問題はないし、今日の面接も好印象でした。それに何より彼、字が綺麗です」
書記に向いてるでしょ? とユーシスはニッコリ笑う。確かに、とアートたちは頷いた。
「私のお茶も美味しいって言っててくれましたし、ね?」
やっぱりそこかよ、とソモルは心の中で突っ込んだ。
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