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 休日、ユーシスは寮の自室にてお菓子作りに励んでいた。
 部屋中に焼きたてのクッキーの香ばしい香りが広がっている。

「ただいま」
「お帰り!」

 そこへ、剣術の練習が終わったニリアが帰ってきた。
 首に掛けたタオルで汗を拭い、出迎えてきたユーシスに笑顔を向ける。

「あ、良い匂いだね。何作ってるんだ?」
「クッキーだよ。ニリアも食べる?」
「もちろん。シャワー浴びてくる」

 ニリアが浴室に向かうと、ユーシスはいそいそとお茶の準備をし始めた。
 以前、ニリアはユーシスがお茶を入れたり食事を作ったりすることにいい顔をしなかったが、ユーシスが断固として譲らなかったので渋々許してくれた。
 今は、ユーシスのお茶やお菓子がおいしい事もあって楽しみにしてくれているくらいだ。
 でも何より、お菓子を作るユーシスが幸せそうに笑っているのが一番の理由だろう。

「お、いい焼き色!」

 ユーシスは焼けたクッキーをオーブンから出し、つまみ食いして火がきちんと通っているの確認するとクッキーを皿に広げる。
 ちょうど、ニリアもシャワーを浴び終え、タオルでガシガシと髪の毛を拭きながらやってきた。

「うまく焼けたみたいだね」
「うん、上手くできたからソモルとかにもあげようかな。最近彼煮詰まってるから」
「今の時期は忙しいもんな」

 二人は席に着きクッキーを食べながら話す。

「そういえば、生徒会が新役員を応募するんだって?」
「うん、ソモルが書記と会計二役やっていたんだけど、さすがに忙しいから人手が足りなくて」
「へぇ、じゃあ良い人材が来ると良いな」
「そうだね。厳選しなきゃ」

 忙しくなりそう、とユーシスは苦笑いをこぼした。

 

 
 


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