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「んぐ、確かに、んぐんぐ、このケーキ、んぐ、なんか元気でるかも」
「うふ、でしょ?」
「確かに、見た目のわりに美味いな」

 体の底からぽかぽかとしてきたソモルはガツガツとケーキを食べる。ビンビンケーキは見た目と名前を裏切り健康食品らしい。アートも美味しそうに食べている。

「うっ! ごぼ、げほげほっ、ゆ、しす、お、茶!」
「あ、はい!」

 一気にケーキを詰め込んだソモルが喉を詰まらせ慌ててユーシスにお茶を頼んだ。ユーシスもアワアワとソモルにお茶を渡す。

「んっんっ……ぷはー! あー、蘇ったわー」
「キリクボート、俺にも茶を頼む」
「はい、すぐに」

 お茶を飲んですっきりし満面の笑顔になるソモルをアートはクスリと笑った。ユーシスもソモルが元気になって嬉しそうである。
 どよんとしていた部屋の空気が明るくなる。

「キリクボートの淹れる茶はいつも美味いな」
「ありがとうございます! 私もお茶はちょっと自信あるんですよ」
「これぐらい仕事もちゃんとできるといいんだけどねぇ…」
「むっ」
「あ、ごめんごめん」

 つい、とソモルは舌を出した。じろ、とユーシスに睨まれて慌ててソモルは話題を変えようとする。

「そうだ! 生徒会の人数増やしません? そしたら仕事楽になるし!」

 これは名案だ、とばかりにソモルは大げさに手を叩いた。

「僕は書記をやめて、新しい書記を応募するんです。そしたら僕は会計の仕事に専念できる! どうです?」
「………ソモルだけじゃないか。得するのは」
「そんなことないって! ユーシスの仕事もアート先輩の仕事も楽になるよ」
「………まぁ確かに新しい役員は必要かもしれないな。これからもっと忙しくなるから」

 アートの賛同にソモルは、ですよね! と喜んだ。ユーシスも、アート先輩が言うなら、と引き下がる。
 後日、生徒会は学園に役員応募の告知をした。宣伝のチラシには「私たちと一緒により良い学園生活を作りませんか?」の文字と共に満面の笑みを浮かべたソモルとユーシスたちの写真があった。



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テーマ「人外ファンタジー」
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