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 ニリアがシャリスに絡まれている時、ユーシスは生徒会室にいた。穏やかな空気…ではなく、仕事に追われアートもソモルも皆イライラとしていた。

「だぁーっ! 何なの! 仕事多すぎでしょ!」

 黙々と作業していたソモルが突然机を叩きそういい放った。限界が来たようだ。それに釣られ、ユーシスとアートも作業の手を止める。

「………そうだな、今年はやることが多い」
「ですよね!? てか僕書記と会計掛け持ちとか辛すぎです死にます」

 賛同するアートに物凄い形相で詰め寄るソモル。相当疲労しているようだ。
 なぜソモルが書記と会計という役職2つを掛け持ちしているかというと、色々と複雑な事情があった。当初ソモルは会計のみのはずであったのだが、書記をやる予定だった生徒が家の事情で転校してしまったり、書記をやれるだけの家柄とスキルを持った生徒がいなかったり、ソモルが安請け合いで書記をやると言ってしまったり……。
 ともかくソモル=チャンソは2つの役職を引き受けた事を猛烈に後悔し始めていた。

「もうなんか疲れましたやめたい」
「ソモル! こ、こういう時はやっぱり甘いケーキでも食べて落ち着こう」
「食べる食べる早く出して」
「う、うん」

 死んだ魚のような目をして喋るソモルに危機感を抱いたユーシスは、とりあえず落ち着かせようと思い急いでケーキを用意した。

「は、はいどうぞ。アート先輩も」
「ああ、ありがとう」
「あー、うんめぇ、甦るわぁ」
「で、でしょ? このケーキ実はね、今巷で有名なビンビンケーキっていうね、元気が出るケーキなんだ」
「………なにそれいやらしい」

 確かによく見ればそのケーキは男根に見えないでもない。ソモルは思わず食べるのをやめた。隣にいるアートを見ると、彼もフォークを置いていた。

「だ、大丈夫だよ! エッチなケーキじゃないよ!」

 顔を真っ赤にしてケーキの原材料と商品説明をユーシスは話す。どうやらビンビンケーキはちゃんとしたケーキらしい。アートとソモルはまたケーキを食べ始めた。



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