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 夕暮れの放課後、何人かの生徒たちが小屋で剣の練習をしていた。ニリアもまたその一人である。アイーヌとユーシスの事でイライラしているニリアは、ここ最近剣を振ってストレス解消しているのである。
 そして汗を流し剣を振るニリアを見て興奮する男がいた。ニリアの親衛隊副隊長ミト=シャリスである。

「キャー! ニリア様素敵ぃ!」

 シャリスは引き伸ばしたニリアの写真を張り付けたうちわをブンブンと降りながらニリアに声をかけた。
 ニリアはその声に振り返りシャリスにやめろとジェスチャーするが、分からなかったのか無視したのか、恐らく後者だろうがシャリスは声援という名の奇声を止めなかった。
 おかげで集中力が切れてしまったニリアは少しイライラしながら、剣を止めシャリスの元へと向かった。

「おい、やめろ」
「ああん、僕はただ応援したいだけですぅ。汗を流すニリア様が最高にエロいか」
「黙れ、口を閉じろ」

 中等部の頃からシャリスはニリアのストーカーだ。だからニリアもいい加減シャリスの扱いには慣れていた。なるべく相手にしない、相手にすればシャリスを喜ばせるだけである。
 しかし今のニリアは苛立っていた。いつもなら無視する言動も無視できなかった。

「うふ、ユーシス様が振り向いてくれないからイライラしてるんですね」
「……やめろ」
「最近ずっと黒研の部長と一緒ですもんね、ユーシス様。あはは、ニリア様可哀、うぁっ」

 ニヤニヤと笑いながら話すシャリスの髪をニリアはガッと掴んで頭を壁に押し付けた。

「口を閉じろっつてんだよ」
「っあ、あははは、痛いなぁニリア様。僕こんな事されたら嬉しくて勃起しちゃう」

 低い声で怒ったニリアだが、シャリスは嬉しそうに笑った。ニリアはシャリスの性癖を思い出し、チッと舌打ちして小屋を出た。
 残ったシャリスはその姿をニヤニヤと見送った。

「今日のオカズは決まり、うふふふ」

 シャリスの呟きを聞いてしまった他の生徒たちはニリアを気の毒に思った。



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