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 あまりにアイーヌが悲しげな声で言うのでユーシスは彼を泣かしてしまった、と酷く焦った。
 焦ったユーシスはアイーヌの頬を両手で包むと、くいっと自分の方へと向かせた。

「アイーヌ先輩、私は貴方の事嫌いになんて………………」

 喋りながらユーシスは顔を覆っているアイーヌの髪を横に流して、あまりのことに驚愕した。
 アイーヌの黒い髪の下にはとても美しい顔があったからだ。
 驚いたユーシスが口をパクパクさせていると、アイーヌが不安げにユーシスを見上げた。

「会長君……?」
「あ、あ、う、あばばば!!」
「え、ど、どうしたの?」
「う、美しい! なんて美しいんだ!」

 言葉にならない声を上げたユーシスはアイーヌの顔をがしっと掴み、ぐいっと己の顔を近づけひたすらアイーヌを見つめて称賛した。

「シルクのような白く滑らかで美しい肌、ルビーのような光輝く瞳、あ、貴方一体……」

 誰ですか、と言おうとしてユーシスは目の前の麗人がアイーヌだということをハッと思い出した。
 正気に戻ったユーシスはぽっと頬を染め、アイーヌの顔から手を離した。

「あ、やだ、私ったら……失礼しました」
「あ、うん」

 凄い形相で己を見てきたユーシスに恐怖を抱かないでもないアイーヌだがユーシスの謝罪に頷いた。

「あ、その、話しが反れましたが私がアイーヌ先輩を嫌いになるなんてないですから」
「…………そっか良かった」
「………えっと、それであの、」

 ユーシスの言葉にほっとするアイーヌ。だが、ちらちらと顔を見てくるユーシスにああ、と苦笑した。



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