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「…やあ。会長君、いる?」
ニリアが扉を開けると、そこにはアイーヌがいた。アイーヌは薄く微笑み手を軽く上げた。
ニリアはキッとアイーヌを睨むと、強い口調で話し始めた。
「いますけど、会わせたくありません」
ニリアは部屋をでて扉を閉める。ユーシスにアイーヌの訪問を知られたくないからだ。
「ユーシスに関わらないで下さい」
「うん? 君が決めることかなぁ、それって」
「……違いますけど。でも俺はユーシスを守るためにいるんだ。あなたは害にしかならない」
「はは、そうかなぁ? 君は僕に妬いてるだけじゃないの?」
「あなたに何が分かる!」
アイーヌの挑発するような物言いに、思わずニリアはカッとなって声を荒げてしまった。
しかしすぐにハッとし、後ろの扉を見た。ユーシスに聞こえていないか心配したのだ。
ニリアは落ち着こうと息をつき、心を落ち着かせる。
「俺は、ただユーシスにこれ以上変わって欲しくないだけだ。ユーシスはあなたと仲良くなってから変わった」
「人は変わるものでしょ? 何言ってるんだよ君は……さあ、会長君に会わせて」
「嫌だ」
二人の声は決して大きくなかった。部屋の中にいるユーシスには声は聞こえなかっただろう。
しかしニリアの戻りが遅い事を気にしたユーシスは扉を開けてしまった。
「ニリア、何して……あ」
「やあ」
アイーヌの存在に気付いたユーシスは嬉しそうに顔をほころばせた。それに答えるようにアイーヌも微笑む。ニリアだけは忌々しそうにアイーヌをにらんでいた。
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