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生徒会長として日々成長して、いやできているとは言い難いユーシスだが今日も生徒会長として頑張るのみである。
ニリアと二人、寮から校舎へと登校していると周りの生徒たちはざわざわと騒ぎ始めた。
「きゃ〜! ユーシス様ぁ! こっち向いてぇ〜!」
「や〜ん! 素敵ぃ〜!」
会長として能力はあまりあるとはいえないユーシスだが人気があった。
真面目で人当たりが良く成績優秀なところに加え、容姿が整っていることが要因のようだ。
「やぁ」
ユーシスがそう言って笑顔で手を上げれば大勢が黄色い悲鳴をあげる。
「男」
「いやぁ。ニリア、皆元気だね」
「全員男だ」
「いやぁまいったまいった」
苦い顔でニリアが告げる。そう、ニリアの言うとおり全員男だ。
ニリアとユーシスの通うナヒューム国立学園は女子禁制の男子校だ。女性は一人もいない。
「ほら、ニリアも呼ばれてるよ!」
「いいよ」
「ほら手を振ろうよ」
ニリアの手を取って一緒に手を振るユーシス。
すると生徒たちの黄色い悲鳴が絶叫にかわる。
「あれ? ニリア顔が赤いよ。大丈夫かい?」
「あぁ」
ニリアはユーシスと繋がっている手をきゅっと握った。
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