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放課後、ユーシスはまず黒魔術研究部へと訪れた。部室の扉を叩くと、だらしない格好の部員がかったるそうに扉を開けた。
「こ、こんにちは。あのアイーヌ先輩はいらっしゃいますか」
「いませんよ。ここ最近は来てません」
「あ…そ、そうなんですか…。で、ではどちらに…」
「そんなの僕は知りません」
始終面倒くさそうに言い、部員はついに扉を閉めてしまった。
だがユーシスの心は折れない。次はアイーヌの自室を目指して歩き出した。
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ドキドキと不安を抱えながらユーシスはついにアイーヌの部屋の扉をノックした。
しかし部屋の主から返事はない。
「あの、キリクボートです…いらっしゃいますか?」
やはり返事はない。アイーヌは不在のようだ。
ユーシスは魔動メッセンジャーを部屋の前に置いて、この日はもう諦めることにした。
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『…──一度お話がしたいです。また、明日来ます…』
カタカタと音を立てて喋るメッセンジャーをアイーヌは見つめていた。
アイーヌが空中散歩を終え部屋に帰ると、一体の魔動メッセンジャーが置いてあった。数刻前にユーシスが置いたものだ。『メッセージ、はこれで、終わり、デス…』
メッセージを伝え終わると人形はぽん、と音を立てて消えた。
アイーヌはゆっくりと立ち上がり、部屋を出た。
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