35

 放課後、ユーシスはまず黒魔術研究部へと訪れた。部室の扉を叩くと、だらしない格好の部員がかったるそうに扉を開けた。

「こ、こんにちは。あのアイーヌ先輩はいらっしゃいますか」
「いませんよ。ここ最近は来てません」
「あ…そ、そうなんですか…。で、ではどちらに…」
「そんなの僕は知りません」

 始終面倒くさそうに言い、部員はついに扉を閉めてしまった。
 だがユーシスの心は折れない。次はアイーヌの自室を目指して歩き出した。


******


 ドキドキと不安を抱えながらユーシスはついにアイーヌの部屋の扉をノックした。
 しかし部屋の主から返事はない。

「あの、キリクボートです…いらっしゃいますか?」

 やはり返事はない。アイーヌは不在のようだ。
 ユーシスは魔動メッセンジャーを部屋の前に置いて、この日はもう諦めることにした。


******


『…──一度お話がしたいです。また、明日来ます…』

 カタカタと音を立てて喋るメッセンジャーをアイーヌは見つめていた。
 アイーヌが空中散歩を終え部屋に帰ると、一体の魔動メッセンジャーが置いてあった。数刻前にユーシスが置いたものだ。『メッセージ、はこれで、終わり、デス…』

 メッセージを伝え終わると人形はぽん、と音を立てて消えた。
 アイーヌはゆっくりと立ち上がり、部屋を出た。



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