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 アイーヌが口を開こうとする前に、ユーキルがアイーヌの悪事をばらそうと口を開いた。

「会長君! こいつは君を利用したんだ!」
「わ、私を? なぜ?」
「それは俺が君を」
「ち、違う! 利用なんかしてない! 僕は、僕は・・・」

 あまりの事態に観客たちも静かになり、舞台上の三人を皆見つめていた。
 アイーヌが一際大きな声を出したことにユーキルとユーシス、またアイーヌも自分自身驚いていた。

(僕は、何をしたいんだ・・・? ここで弁解して、そしてどうなる? 僕は・・・)
 
 皆の視線が自分に向かうと、つい口走ってしばったもののアイーヌは己のしたいことがわからなくなり、口を閉ざしてしまった。ユーキルは今こそ、としゃべり出す。

「こいつは、ミシホは俺に恥をかかしたくて君を利用したんだ」
「それは、さっきの告白のこと・・・ですか?」
「そ、うだ。君はそのためにこのクイズ大会に呼ばれたんだ」
「・・・・・・わ、私にはよくわかりません」
「ミシホはこのために君に近づいたんだ」
「そ、そんなの無意味です。理解できません」

 ユーシスはそばでうつむいているアイーヌをちらっと見た。しかし彼が顔をあげる様子はない。そして今度は、ユーキルを見る。品行方正な風紀委員長のユーキル。きっと、ユーキルの言葉は本当なのだろう、とユーシスは思った。
 だがユーシスはどうしてもわからなかった。自分を利用するために近づいたというならば、なぜ必要以上に仲良くする必要があったのか。それぐらいユーシスの中でアイーヌは大切な友達になっていたのだ。

「私・・・帰ります・・・」

 ユーシスはもう一度アイーヌを見たが、アイーヌが顔を上げてユーシスを見ることはなかった。



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